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【成功事例で学ぶ】ワークライフバランスに取り組む企業の共通点と課題解決策

人物プロフィール
村上 慎也(むらかみ しんや)

組織人事コンサルタント
早稲田大学政治経済学部卒
国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラー

企業の離職防止や定着率改善を専門とし、制度設計にとどまらず、社員一人ひとりの「内発的動機づけ」に着目した支援を信条とする。
データ分析と現場ヒアリングを軸に、経営層・マネージャー双方への支援を提供。現場感と理論を兼ね備えた落ち着きある語り口と、信頼感ある立ち振る舞いが特徴。
私生活では筋トレや読書を通じて自己研鑽を重ねる一方、家族との時間も大切にしている。

西野 結衣(にしの ゆい)

組織人事コンサルタント(ジュニアアソシエイト)
上智大学 総合人間科学部卒

IT系広告代理店での営業経験を経て、現在は人事領域の実務を現場で学びながら、キャリアコンサルタント資格の取得を目指している。
ヒアリング力と素直な吸収力に定評があり、1on1設計やフィードバック支援などに携わるほか、離職防止ツールの導入プロジェクトでも活躍中。丁寧な対話と観察力を強みに、実務を通じて成長を重ねている若手コンサルタント。
趣味は朝活と読書。日々の気づきを記録する習慣を大切にしながら、仕事と生活のバランスを大事にしている。

ワークライフバランスの実現は、従業員の定着や企業の生産性向上に直結する重要な課題です。

本記事では、実際に取り組みに成功している企業の事例を紹介しながら、その共通点や直面する課題、効果的な解決策について詳しく解説します。

働きやすい職場づくりに取り組みたい方は必見です。

村上

最近、ワークライフバランスという言葉をよく聞くようになりましたが、なぜこれほど注目されているのでしょうか?

ワークライフバランスの重要性とは?

ワークライフバランスとは、仕事と生活を調和させることで、どちらかに偏ることなく充実した日々を送る考え方です。
現代では、単に働く時間を減らすことではなく、働き方そのものの見直しが求められています。

ワークライフバランスの重要性について、次のようにまとめることができます。

項目内容
定義仕事と生活の調和を図り、充実した日々を送る考え方
現代の特徴働く時間の削減ではなく、働き方の見直しが重要
企業への影響人材確保・定着、生産性向上、企業イメージの向上
位置付け経営戦略の一環として重要視される

社員の多様なライフステージに応じて、柔軟な勤務体制や働く環境を整備することは、企業にとって人材の確保・定着の観点からも非常に重要です。
結果的に従業員のモチベーションが向上し、生産性の向上や企業のイメージアップにもつながるため、経営戦略の一環としても位置づけられるようになってきました。

西野

なるほど、経営戦略の一環という視点は重要ですね。でも、具体的にはどんな理由で企業に求められるようになったんでしょうか?

なぜ今、企業にワークライフバランスが求められるのか

働き方改革や少子高齢化など社会の変化に伴い、従業員の価値観も大きく変わっています。
特に若年層を中心に「仕事だけでなく、プライベートも充実させたい」と考える人が増え、企業にもそれに応じた柔軟な対応が求められています。

ワークライフバランスが重視されるようになった理由には、次のようなものが挙げられます。

ワークライフバランスが重視されるようになった理由
  • 働き方改革による社会全体の意識変化
  • 少子高齢化による労働力不足への対応
  • 若年層の価値観変化(仕事とプライベートの両立重視)
  • 優秀な人材の確保・定着の必要性
  • 採用コストの削減効果
  • 業務の属人化防止による組織力向上

また、優秀な人材の流出を防ぎ、長く働ける環境を整えることは、採用コストの削減や業務の属人化防止にもつながるため、多くの企業がワークライフバランスを意識するようになってきました。

村上

実際に従業員の満足度や生産性にはどのような影響があるのでしょうか?データで示せる部分も知りたいですね。

従業員の満足度や生産性に与える影響

ワークライフバランスの取り組みが従業員満足度に大きく影響することは、多くの調査結果でも明らかになっています。
例えば、リモートワークやフレックス制度の導入によって、通勤ストレスの軽減や育児・介護との両立が可能になり、心身の健康維持にも寄与します。

結果として欠勤率の低下や、仕事への集中力向上など、生産性の向上が見られる企業が多数あります。
つまり、従業員にとって働きやすい環境を整えることは、企業の業績にも直結するのです。

西野

理論的な部分は理解できました。では、実際にワークライフバランスを実現している企業にはどのような事例があるのでしょうか?

ワークライフバランスを実現した企業の具体例

近年、多くの企業がワークライフバランスを重視し、具体的な制度や仕組みを導入しています。
以下では、取り組みが評価されている3社の事例を紹介します。

それぞれの企業がどのような制度を導入し、どのような成果を得ているのかに注目してみましょう。

村上

まずはサイボウズの事例から見てみましょう。離職率28%という深刻な状況からどのように改善したのでしょうか?

サイボウズ株式会社

クラウドサービスを提供するサイボウズ株式会社は、かつて離職率が28%に達するという深刻な課題を抱えていました。
この事態を契機に、同社は働き方改革を本格的に推進しました。

サイボウズ株式会社が実施した制度とその内容について、次のようにまとめることができます。

制度名内容
ウルトラワーク制度在宅勤務やフレックスタイム制の活用範囲を大幅に拡大
副業解禁社員の多様なキャリア形成を支援
育自分休暇制度最長6年間の長期休暇取得が可能
子連れ出勤制度育児との両立を具体的にサポート

成果:これらの取り組みにより、離職率は4~5%台にまで劇的に改善され、従業員のモチベーションや生産性の向上にもつながっています。

西野

28%から4~5%への改善は驚異的ですね!次のディノス・セシールの事例はどのような特徴があるのでしょうか?

株式会社ディノス・セシール

通販事業を手がけるディノス・セシールは、企業統合を契機に「働き方改革プロジェクト」を立ち上げました。
社内に「働き方情報掲示板」を設け、従業員同士が取り組み事例を共有し合える環境を整備しました。

株式会社ディノス・セシールの働き方改革をまとめると、次のようになります。

株式会社ディノス・セシールの働き方改革
  • 働き方に関する公募制度の導入
  • 表彰制度による自律的な改善促進
  • 出産や介護を支援する多様な休暇・時短制度
  • 上司による「イクボス宣言」での意識改革推進

成果:2015年に19.23時間だった月平均残業時間が、2017年には17.09時間に減少し、育児休業からの復職率は100%を達成しました。

村上

復職率100%は素晴らしい成果ですね。最後のレオパレス21の事例も見てみましょう。

株式会社レオパレス21

不動産業のレオパレス21は、2010年から2011年にかけて高い離職率に直面し、全社を挙げて労働環境の改善に取り組みました。
特に注力したのが、女性社員のキャリア支援と男性の育児参加推進です。

女性のロールモデル紹介や研修に加え、男性社員への育児休業取得促進を強化しました。
育休取得率は、わずか2.88%から21.43%へと飛躍的に向上しました。

さらに、労働時間のモニタリングやWLBに関する社内研修、意識調査を実施することで、職場の意識改革を実現しました。

成果:2009年度に25.2%だった離職率は、2017年度には8%台にまで改善されました。

西野

どの企業も素晴らしい成果を出していますね。これらの成功企業には何か共通点があるのでしょうか?

成功企業に共通する3つの要素

成功事例を持つ企業には、いくつかの共通点があります。
これらの要素は、単なる制度の導入ではなく、制度が効果的に機能するための土台ともいえる部分です。

ワークライフバランスの改善に成功した企業の共通点には、次の3つが挙げられます。

要素内容
経営層のコミットメント経営戦略の一部として位置付け、トップダウンで推進
柔軟な制度設計社員の声を反映した現場に即した制度構築
データ活用定量データに基づく効果測定と継続的な改善

制度を浸透させるには、このような根本的な姿勢が不可欠です。

村上

まず、経営層のコミットメントについて詳しく見てみましょう。これがなぜ重要なのでしょうか?

経営層の明確なコミットメント

ワークライフバランス施策が浸透するかどうかは、経営層の姿勢に大きく左右されます。
成功企業では、経営者自身が先頭に立って取り組みの必要性を明言し、施策を単なる福利厚生ではなく経営戦略の一部として位置付けています。

また、経営陣が現場に足を運び、社員の声を直接聞く機会を設けるなど、ボトムアップとトップダウンの両軸で推進している点も特徴です。

西野

トップダウンだけでなく、社員の声を聞くボトムアップも大切なんですね。柔軟な制度設計についてはどうでしょうか?

社員の声を反映した柔軟な制度設計

制度を一方的に導入しても、現場で活用されなければ意味がありません。
そのため、多くの企業では、社員アンケートや1on1ミーティングなどでニーズを収集し、制度設計に反映しています。

例えば「育児と仕事の両立が難しい」という声があれば、時間単位で取得可能な有給休暇を導入するなど、現場の実情に合わせて制度を改善する姿勢が求められます。

村上

最後のデータ活用についても重要ですね。どのように効果を測定していくのでしょうか?

定量データに基づく運用と改善

成功企業の多くは、ワークライフバランス施策の効果を「数値」で把握しています。
たとえば、離職率、残業時間、エンゲージメントスコアなどを定期的にモニタリングし、施策が有効に機能しているかを判断します。

また、PDCAを回すことで、効果の出ない施策は改善され、より効果的な施策へとブラッシュアップされていくのです。

西野

理想的な取り組み方法は分かりましたが、実際には多くの課題もありそうですね。どのような課題があるのでしょうか?

取り組みに潜む課題とその解決策

ワークライフバランスへの取り組みは重要である一方で、実行段階では多くの課題が表面化します。
制度そのものが形骸化してしまったり、かえって社内に不満を生む原因になったりするケースも見られます。

ワークライフバランスへの取り組みがもたらした課題とその解決策をまとめると、次のようになります。

課題解決策
制度導入後の運用不備ガイドライン整備、管理職向け研修の実施
従業員間の不公平感制度活用事例の共有、利用促進の雰囲気づくり
管理職のマネジメント力不足標準化された支援体制の構築、ツール・研修の提供

ここでは、代表的な課題とその解決策を紹介します。

村上

制度を導入したのに運用がうまくいかない、というのはよく聞く話ですね。具体的にはどんな問題が起きるのでしょうか?

制度導入後の運用不備

制度は整っていても、現場での運用がうまくいかなければ意味がありません。
たとえば、フレックス制度を導入しても、実際には上司の理解不足や、チーム内での足並みが揃わないことで利用しにくくなってしまうことがあります。

解決策:制度のガイドラインやマニュアルを整備し、管理職向けの研修などを通じて運用の意図をしっかり浸透させることが必要です。

西野

従業員間の不公平感というのも難しい課題ですね。どうすれば解決できるのでしょうか?

従業員間の不公平感

一部の従業員だけが制度を積極的に活用している場合、それを利用しない他の従業員との間で不公平感が生じることがあります。
これは制度そのものへの不信感や職場の空気悪化につながりかねません。

解決策:制度活用の事例や効果を社内で共有し、全体として「使ってよい空気」を作ることが大切です。上司が率先して制度を活用することも、利用を促す有効な手段となります。

村上

管理職のマネジメント力も重要な要素ですね。この課題にはどう対処すべきでしょうか?

管理職のマネジメント力不足

ワークライフバランスの取り組みを成功させるには、現場の管理職の力量が問われます。
しかし、育成やフィードバックの仕方を学んでこなかった管理職も多く、「どう部下を支援すればいいか分からない」という声も少なくありません。

解決策:管理職向けにフィードバックや1on1のノウハウを提供するツールや研修の導入が効果的です。属人的な対応ではなく、標準化された支援体制を整えることが求められます。

西野

管理職のマネジメント力向上を支援するツールがあると心強いですね。具体的にはどのようなツールがあるのでしょうか?

ワークライフバランス支援ツールとして注目される「みんなのマネージャ」

ワークライフバランス施策の成功には、現場の課題を可視化し、適切に対応する仕組みが不可欠です。
そこで注目されているのが、エンゲージメントサーベイツール「みんなのマネージャ」です。

ワークライフバランス支援ツールとして、次のような機能があります。

「みんなのマネージャ」の機能
  • 週1回の高頻度サーベイによる従業員の心理状態の把握
  • AIを活用したマネジメント支援機能
  • 属人的なマネジメントの回避
  • 組織全体の成長サポート

このツールは単なるアンケート機能にとどまらず、AIを活用したマネジメント支援機能を備え、属人的なマネジメントを回避しながら、組織の成長をサポートします。

村上

従業員の心理状態を可視化するというのは、非常に重要な機能ですね。具体的にはどのように活用できるのでしょうか?

従業員の心理状態を可視化し、早期に課題を発見

「みんなのマネージャ」は、週1回の高頻度サーベイにより、モチベーションやストレスレベルなど従業員の心理状態を定量的に把握します。
特に、メンタルに課題のある従業員を早期に発見できる機能が特徴で、放置されがちな離職リスクを事前に察知することが可能です。

リアルタイムでデータが可視化されるため、店舗や部署ごとの傾向も一目で確認でき、迅速な対応が可能になります。

西野

早期発見ができても、その後のフィードバックが難しそうですね。この点についてはどのような機能があるのでしょうか?

フィードバックの質を均一化し、離職率を大幅に改善

管理職によるフィードバックの質は、従業員の定着に直結します。
しかし、経験や性格によりばらつきが生じやすいのが実情です。

「みんなのマネージャ」では、専門家監修のフィードバック例が自動で提示されるため、誰でも質の高い対話が実践できる環境を整えられます。

実績:実際に導入企業では、離職率が67%改善した事例も報告されており、制度の形骸化を防ぐ有効な手段となっています。

村上

離職率67%改善は驚異的ですね。AIによる行動提案についても詳しく教えてください。

AIによる行動提案で属人的なマネジメントを防止

さらに、AIによる行動提案機能により、管理職は「次に何をすべきか」が明確になります。
これにより、マネジメントに不慣れな管理職でも、個別の状況に応じた最適な対応が可能となり、育成の質も均一化されます。

従業員との対話の質が高まることで、信頼関係も築きやすくなり、組織全体のエンゲージメント向上につながります。

西野

これまでの内容を整理して、ワークライフバランス実現のためのポイントをまとめていただけますか?

まとめ

ワークライフバランスへの取り組みは、もはや一部の先進企業だけのものではなく、すべての企業にとって重要な経営課題となっています。
実際に成功している企業は、単に制度を整えるだけでなく、従業員の声を反映した運用や、データに基づいた継続的な改善を実践しています。

社内のワークライフバランスを整えるための施策では、次のようなポイントを意識することが重要です。

今回の記事のまとめ
  • 制度の導入だけでなく、効果的な運用が重要
  • 従業員の声を反映した柔軟な制度設計
  • データに基づく継続的な改善の実践
  • 管理職のマネジメント力向上が成功の鍵
  • デジタルツールの活用による科学的なマネジメント支援

しかし、その道のりには制度の運用不備やマネジメント力の差、不公平感など、さまざまな課題が伴います。
そうした課題の解決策として注目されているのが、「みんなのマネージャ」のようなデジタルツールです。

従業員の心理状態の可視化から、フィードバックの質の標準化、さらにはAIによる行動提案まで、属人的になりがちなマネジメントを科学的にサポートすることで、企業全体のワークライフバランス推進が加速します。

今後、持続的な組織成長を実現するためにも、こうしたツールの活用がますます重要になってくるでしょう。

村上

ワークライフバランスの実現は一朝一夕にはいきませんが、適切なアプローチとツールを活用することで、必ず成果は現れます。従業員にとっても企業にとってもWin-Winの関係を築いていきましょう。

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