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従業員サーベイとは?組織力を高めるための導入ガイド

人物プロフィール
村上 慎也(むらかみ しんや)

組織人事コンサルタント
早稲田大学政治経済学部卒
国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラー

企業の離職防止や定着率改善を専門とし、制度設計にとどまらず、社員一人ひとりの「内発的動機づけ」に着目した支援を信条とする。
データ分析と現場ヒアリングを軸に、経営層・マネージャー双方への支援を提供。現場感と理論を兼ね備えた落ち着きある語り口と、信頼感ある立ち振る舞いが特徴。
私生活では筋トレや読書を通じて自己研鑽を重ねる一方、家族との時間も大切にしている。

西野 結衣(にしの ゆい)

組織人事コンサルタント(ジュニアアソシエイト)
上智大学 総合人間科学部卒

IT系広告代理店での営業経験を経て、現在は人事領域の実務を現場で学びながら、キャリアコンサルタント資格の取得を目指している。
ヒアリング力と素直な吸収力に定評があり、1on1設計やフィードバック支援などに携わるほか、離職防止ツールの導入プロジェクトでも活躍中。丁寧な対話と観察力を強みに、実務を通じて成長を重ねている若手コンサルタント。
趣味は朝活と読書。日々の気づきを記録する習慣を大切にしながら、仕事と生活のバランスを大事にしている。

「従業員サーベイってなんだろう」

「名前は聞いたことあるけど、効果的に運用するにはどうしたらいいんだろう」

人事関連の部署にいる方にとって、組織力を高める施策を計画・実行することは重要な業務です。

今回の記事では、人事関連の業務をしてる方に向けて、従業員サーベイとは何か、組織力を高めるにはどうやって運用すればいいのか、を解説していますので、ぜひ最後まで読んでください。

村上

従業員サーベイは組織の健康状態を測る重要な体温計のようなものです。正しく活用すれば、組織の課題を可視化し、効果的な改善策を講じることができますよ

従業員サーベイとは?

従業員サーベイとは、従業員の意識や職場環境に関する情報を収集・分析し、組織の課題を可視化する調査手法です。その目的は、従業員の満足度やエンゲージメントを把握し、離職防止や生産性向上などの人事施策に活かすことにあります。

従業員サーベイを表にまとめると、次のようになります。

項目詳細
定義従業員の意識や職場環境に関する情報を収集・分析する調査手法
主な目的満足度・エンゲージメント把握、離職防止、生産性向上
重要性働き方の多様化や人材流動化への対応
活用効果組織の現状把握と的確な改善策の実施

近年、働き方の多様化や人材の流動化が進む中で、従業員の声を定量的に捉える手段として、従業員サーベイの重要性が高まっています。組織の現状を正確に把握し、的確な改善策を講じるためには、従業員サーベイの活用が不可欠です。

西野

働き方が多様化している今だからこそ、従業員の本音を聞く仕組みが重要なんですね。データで現状を把握することで、感覚ではなく事実に基づいた改善ができそうです

従業員サーベイの種類と特徴

従業員サーベイには、目的や実施方法に応じてさまざまな種類があります。代表的なものとして、従業員満足度調査(ES調査)、エンゲージメント調査、パルスサーベイ、360度評価などが挙げられます。

具体的な種類としては、次のようなものが挙げられます。

従業員サーベイの違い
  • 調査対象の違い:満足度、エンゲージメント、コンディション、多面評価など
  • 実施頻度の違い:年次、月次、週次など
  • 設問内容の違い:詳細な分析用から簡易チェック用まで
  • 活用方法の違い:戦略立案、早期発見、人材育成など

それぞれのサーベイは、調査対象や頻度、設問内容が異なり、得られる情報や活用方法も異なります。組織の課題や目的に応じて、適切なサーベイを選択・実施することが重要です。

村上

サーベイの種類によって得られる情報が違うんです。まずは組織が何を知りたいのか、どんな課題を解決したいのかを明確にしてから、適切な手法を選ぶことが成功の鍵ですね

従業員満足度調査(ES調査)

従業員満足度調査(ES調査)は、従業員が職場環境や業務内容にどれだけ満足しているかを把握するための調査です。福利厚生や人間関係、評価制度など、従業員の満足度に影響を与える要素を定量的に測定します。

従業員サーベイの主な測定項目には、次のようなものが挙げられます。

主な測定項目
  • 福利厚生制度への満足度
  • 職場の人間関係
  • 評価制度の公平性
  • 業務内容とのマッチング度
  • 労働環境の快適性

一般的に年1回程度の頻度で実施され、組織全体の満足度の傾向や部門ごとの違いを把握するのに役立ちます。ES調査の結果は、職場環境の改善や人事制度の見直しなどの施策に活用されます。

活用例

たとえば、ある企業ではES調査の結果から「評価制度に対する不満」が顕著であることが判明し、制度の透明性向上を目的に評価面談の回数を増やす施策を導入しました。その結果、翌年の満足度は改善し、離職率も低下しました。

西野

ES調査は組織の基本的な満足度を測るのに適しているんですね。特に人事制度の見直しを検討している企業には、とても参考になる情報が得られそうです

エンゲージメント調査

エンゲージメント調査は、従業員が組織や業務に対してどれだけ貢献意欲や信頼感を持っているかを測定する調査です。従業員のモチベーションや働きがいを可視化し、組織へのコミットメントの度合いを把握します。

エンゲージメント調査で測定される要素は、次のようなものが挙げられます。

測定される要素
  • 組織への愛着度
  • 業務への意欲
  • 成長実感
  • 組織への信頼度
  • 推奨意向

エンゲージメントが高い従業員は、生産性が高く、離職率も低い傾向があります。この調査は、組織の活性化や人材定着のための施策を検討する際の重要な指標となります。

活用例

新規プロジェクトが多く動くIT企業では、プロジェクト配属後の3か月後にエンゲージメント調査を実施。業務への「成長実感」が低いチームが明らかになり、育成機会の見直しとメンター制度を導入することで改善につなげました。

村上

エンゲージメントは単なる満足度を超えて、従業員の「本気度」を測る指標です。組織への愛着や成長実感が高い従業員は、自発的に組織に貢献してくれる貴重な人材ですからね

パルスサーベイ

パルスサーベイは、短期間に簡易的な質問を繰り返し実施する調査手法です。週次や月次などの高頻度で実施され、従業員のコンディションや職場の雰囲気の変化をリアルタイムで把握することができます。

パルスサーベイの詳細は次のようになっています。

特徴詳細
実施頻度週次・月次など高頻度
設問数5〜10問程度と少数
回答時間1〜3分程度
従業員負担軽微で継続しやすい
把握内容コンディション・雰囲気の変化

設問数は少なく、回答時間も短いため、従業員の負担が少ないのが特徴です。パルスサーベイの結果は、早期に課題を発見し、迅速な対応を行うための材料として活用されます。

活用例

在宅勤務が主流となった企業では、毎週のパルスサーベイで「孤立感」「業務負荷感」などを測定。ある週に急激にコンディションが低下したチームに対し、1on1の増加や業務配分の見直しが即座に実施され、メンタル不調の予防につながりました。

西野

パルスサーベイは「早期発見・早期対応」ができるのが最大のメリットですね。リモートワークが増えている今、従業員の変化を素早くキャッチする仕組みは本当に重要だと思います

360度評価

360度評価は、上司、同僚、部下など、複数の関係者からのフィードバックを収集し、従業員の行動やスキルを多面的に評価する手法です。自己評価とのギャップを把握することで、自己認識の向上や成長課題の明確化につながります。

360度評価における評価者の種類は、次のようなものが挙げられます。

評価者の構成
  • 直属の上司
  • 同僚・同レベルの同僚
  • 部下・後輩
  • 顧客・関連部署(場合により)
  • 本人による自己評価

特にマネージャー層の育成やリーダーシップの強化に効果的であり、組織全体のマネジメント力向上に寄与します。

活用例

中間管理職の育成を重視する企業では、年1回の360度評価を実施し、フィードバック結果をもとに個別の育成計画を策定。たとえば「傾聴力」に課題があると指摘されたマネージャーには、社内研修やコーチングセッションを割り当て、翌年の評価改善につながりました。

村上

360度評価は特にマネージャー育成に効果的ですね。自分では気づけない盲点を多角的な視点で発見できるため、リーダーシップ強化の具体的な指針が得られます

従業員サーベイのメリットとデメリット

従業員サーベイの主なメリットは、組織の課題を定量的に把握し、改善施策の優先順位を明確にできる点です。また、従業員の声を継続的に収集し、改善に反映することで、従業員のエンゲージメント向上や信頼関係の構築にもつながります。

従業員サーベイの主なメリットは、次のようなものが挙げられます。

主要なメリット
  • 組織課題の定量的把握と優先順位の明確化
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 信頼関係の構築と維持
  • 本音の意見収集による真の課題発見
  • 継続的な組織改善のトラッキング

さらに、匿名性を確保した状態での回答が可能なため、本音の意見を引き出しやすく、マネジメントの改善に直結するフィードバックを得ることができます。継続的な実施により、組織の変化や改善の効果もトラッキングできるため、組織開発や人材育成のPDCAサイクルを回す上で有効です。

一方で、従業員サーベイには注意点も存在します。例えば、設問設計が不十分だと、得られるデータが曖昧になり、改善施策に活かせないことがあります。

従業員サーベイの注意点としては、次のようなものが挙げられます。

主な注意点
  • 不適切な設問設計による曖昧なデータ
  • 結果共有・対応不足による信頼失墜
  • アクション不足によるサーベイの形骸化
  • 回答負担による従業員の関心低下

また、結果の共有や対応が不十分だと、従業員の期待を裏切ることになり、逆に信頼を損なうリスクもあります。さらに、回答に対するアクションがなければ、従業員の関心が薄れ、サーベイが形骸化する恐れもあります。

西野

サーベイを実施するだけでは意味がないんですね。きちんと結果を分析して、具体的なアクションにつなげることが重要。従業員の期待に応えることが信頼関係につながるんだと実感します

従業員サーベイ実施のポイントと注意点

従業員サーベイを成功させるためには、実施目的とKPIを明確にし、従業員への説明と理解の促進が重要です。調査内容や活用目的をしっかりと説明することで、回答の質と回収率が向上します。

従業員サーベイを成功させるための具体的な行動は、次のようなものが挙げられます。

成功要因具体的なアクション
目的の明確化実施目的とKPIの設定・共有
理解促進調査内容と活用方法の丁寧な説明
心理的安全性匿名性の担保と安心できる環境作り
迅速なフィードバック結果の速やかな共有と分析
明確なアクション改善策の提示と確実な実行

また、回答の匿名性を担保し、心理的安全性のある環境を整えることも不可欠です。加えて、調査結果は速やかにフィードバックし、明確な改善アクションを提示・実行することが、従業員の信頼を維持する鍵となります。

村上

心理的安全性の確保が特に重要です。従業員が本音を話せる環境がなければ、せっかくのサーベイも表面的な回答しか得られません。匿名性の担保は必須条件ですね

成功事例:従業員サーベイの効果的な活用

例えば「みんなのマネージャ」では、週1回の高頻度パルスサーベイを活用し、従業員のコンディションや行動特性をリアルタイムに把握しています。AIによる頻度調整やフィードバック支援機能を通じて、メンタル不調者の早期発見や、マネジメントの属人化防止が実現されました。

従業員サーベイが成功するためのポイントには、次のようなものが挙げられます

成功のポイント
  • 週1回の高頻度実施でリアルタイム把握
  • AI技術活用による効率的な運用
  • 早期発見・早期対応の仕組み構築
  • マネジメントの標準化と品質向上

その結果、離職率が67%改善したという実績もあり、定量的なエビデンスに基づいたマネジメントの重要性が再認識されています。

※みんなのマネージャの口コミ記事への内部リンクを制作後に実装

西野

AIを活用して効率的に運用しているのが印象的ですね。離職率67%改善という数字も驚きです。やはり継続的なデータ収集と迅速な対応が成功の秘訣なんですね

まとめ:従業員サーベイを活用して組織力を向上させよう

従業員サーベイは、組織の現状を可視化し、従業員の声を経営に活かすための重要なツールです。適切な設計と実施、そして何よりも結果をもとにしたアクションが伴うことで、従業員のエンゲージメントを高め、定着率の改善や業績向上につながります。

従業員サーベイを効果的に活用するためのポイントは、次のようになります。

従業員サーベイを効果的に活用するポイント
  • 信頼性の高いツールの選択
  • 適切な運用体制の構築
  • 継続的なフォローアップの実施
  • 結果に基づく具体的なアクション

導入時には信頼性の高いツールを選び、運用体制やフォローアップの体制を整えることが成功のカギです。組織課題の解決に、ぜひ従業員サーベイの導入を検討してみましょう。

村上

従業員サーベイは組織改善の強力な武器です。ただし、実施すること自体が目的ではなく、結果をいかに組織の成長につなげるかが最重要ポイントです。継続的な改善こそが真の組織力向上につながりますからね

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