従業員数が50人を超えた企業では、法律に基づき複数の義務を果たさなければなりません。突然の人数超過で「何から始めればいいのか分からない」と戸惑う担当者も多いでしょう。
本記事では、企業が対応すべき5つの法的義務を分かりやすく解説するとともに、対象となる従業員のカウント方法、違反時のリスク、実務対応のステップまで網羅します。
さらに、メンタルヘルスケアやエンゲージメント向上のために活用できる支援ツール「みんなのマネージャ」についても紹介します。
従業員が50人を超えると何が変わる?企業に課される5つの義務とは
従業員が50人を超えると、企業には法律上の義務が複数発生します。
これらは従業員の健康や職場環境を守るためのもので、労働安全衛生法に基づき義務付けられています。
義務を怠ると、労働基準監督署からの是正勧告や罰則が科されることもありますので、対象となる企業は十分な理解と準備が必要です。

「特に是正勧告を放置すると、企業名の公表リスクも。早めの対応が肝心です。
50人超企業に課される主要な義務一覧
義務項目 | 頻度・期限 | 主な内容 |
ストレスチェック実施 | 年1回以上 | 従業員のメンタルヘルス状態を把握・改善 |
産業医の選任 | 雇入れから14日以内 | 職場の健康管理専門家として配置 |
衛生委員会の設置 | 毎月1回以上開催 | 職場の衛生改善を目的とした組織 |
衛生管理者の選任 | 1名以上配置 | 職場の衛生状態チェック・指導 |
定期健康診断結果報告 | 年1回実施後速やかに | 労働基準監督署への報告義務 |
本章では、従業員が50人を超える企業が具体的に何をしなければならないのか、5つの主要な義務について順に詳しく解説します。
ストレスチェックの実施が義務に
ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルスを守るために導入された仕組みで、従業員が50人を超える事業場では年1回以上の実施が義務付けられています。
対象者は常時雇用されている従業員で、産業医や医師の面接指導へつなげることが重要です。
チェック結果は個人のプライバシーに配慮し、企業が不正に閲覧することはできません。
適切な実施により、職場の心理的安全性を高める第一歩となります。

結果が勝手に見られないって聞いて、ちょっと安心しました。
産業医の選任が必要になる
従業員が50人以上の事業場では、産業医の選任が義務化されます。
産業医は職場の健康管理の専門家として、健康診断の実施や作業環境の改善指導、面接指導の実施などを担います。
選任は雇入れから14日以内に行い、労働基準監督署への届け出が必要です。
従業員の健康保持はもちろん、組織としての信頼性向上にもつながるため、適任者の確保と定期的な連携が求められます。

意外と見落とされがちですが、選任後の届出も法的義務です。
早めに手続きを済ませましょう。
衛生委員会の設置が求められる
衛生委員会は、職場の衛生改善を目的として設置される組織です。
50人以上の従業員を抱える事業場では、毎月1回以上の定例開催が義務付けられています。

月イチって結構大変そう……でも現場の声が反映されるならやるべきですよね。
メンバーは産業医、衛生管理者、従業員代表などで構成され、職場環境の評価や改善策の検討、労働者の意見聴取を行います。
設置により、現場の声を反映した実効性の高い対策が可能になります。

「形式だけの会議では意味がありません。現場の声を吸い上げ、改善につなげることが大切です。
衛生管理者の選任が必須となる
衛生管理者は、職場の衛生状態のチェックや指導を行う重要な役割を担います。
50人以上の事業場では1名以上の衛生管理者の選任が必要であり、所定の資格を有する人材を配置する必要があります。
主な業務は作業環境の巡視、衛生委員会での報告、従業員への指導などです。
事業場の安全文化を根付かせるうえで欠かせない存在となるため、実務に即した運用体制の整備が重要です。

前に体調崩したとき、衛生管理者の人がすぐ動いてくれて助かったの思い出しました。

衛生管理者には選任だけでなく、実行力も求められます。
研修や教育も並行しましょう。
定期健康診断結果の報告が義務化される
50人以上の従業員がいる企業では、年1回の定期健康診断を実施した後、その結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。
この「定期健康診断結果報告書」は、従業員の健康状態を国が把握するために活用されます。提出期限を過ぎると指導の対象になる可能性があるため、診断後は速やかに対応することが重要です。業務負担軽減のため、システムによる管理も効果的です。

忙しくても、ここは後回しにしちゃダメなやつですね。

「提出忘れは是正勧告対象になります。スケジュール管理で確実な提出を。
対象人数のカウント方法に注意!誰を含める?誰を除外する?
従業員数が50人を超えるか否かの判断は、義務発生に直結する重要な要素です。
人数のカウント方法には明確なルールがあり、誤った判断をすると法令違反となる恐れがあります。
基本的には、常時雇用されている労働者が対象となり、正社員のほか、パートタイムやアルバイト、契約社員も含まれます。
- カウント対象者
- 正社員正社員(常時雇用者)
- パートタイム・アルバイト(継続雇用者)
- 契約社員・派遣社員
- 試用期間中の従業員
- カウント除外者
- 役員・取締役
- 事業主の家族従業員
- 一時的な短期雇用者
- 日雇い労働者
ただし、役員や事業主の家族従業員、一時的な短期雇用者は原則として除外されます。
また、フランチャイズや多店舗展開の場合は事業場単位でのカウントが求められるため、全社で一律に判断することはできません。
このようなカウント基準を正確に把握し、適切に対応することが義務履行の第一歩となります。

派遣さんやアルバイトも含まれるって知らなかったです!想像より多くなるかもしれませんね。
これらの義務に違反するとどうなる?企業が受けるリスクとは
従業員50人以上の企業に課される義務は、法律により明確に定められており、これを怠ることは重大なリスクにつながります。
まず、労働基準監督署による是正勧告の対象となり、改善計画の提出や指導を受ける可能性があります。
さらに、悪質な場合には企業名の公表や罰則が科されることもあるため、法令遵守は不可欠です。
- 初期段階:労働基準監督署による是正勧告
- 中程度:改善計画の提出・指導
- 重度:企業名の公表・罰則
また、従業員の信頼を失うことにもつながり、離職率の上昇や採用難を招く恐れもあります。
これらのリスクを回避するためには、法令対応を単なる「義務」として捉えるのではなく、企業の成長と信頼性向上の一環として積極的に取り組む姿勢が求められます。
実務対応のポイントと導入のステップ
従業員50人を超えた段階で、まずは何を優先的に行うべきか迷う企業も多いはずです。
まずは対象義務の全体像を把握し、自社にとって該当するかを確認することが第一ステップです。
そのうえで、各義務についてスケジュールを立て、必要な人材(産業医や衛生管理者など)の確保、体制の構築、社内説明を進めていきます。
- 現状把握:従業員数の正確なカウント
- 義務確認:適用される法定義務の特定
- スケジュール作成:各義務の実施時期設定
- 人材確保:産業医・衛生管理者の選任
- 体制構築:衛生委員会の設置・運営
- 社内周知:従業員への説明・教育
また、業務の属人化を避けるために、外部委託や専門サービスの活用も視野に入れましょう。
社労士や産業医紹介会社を利用することで、手続き負担を軽減できます。
導入後も継続的なフォローが求められるため、定期的な見直しと改善も忘れずに行うことが重要です。
従業員の健康と職場の安心感を守る「みんなのマネージャ」とは?
従業員が50人を超えると、法令に基づく義務だけでなく、組織内の人間関係やマネジメントの質も重要な課題となってきます。そこで注目されているのが、エンゲージメント向上支援ツール「みんなのマネージャ」です。
このサービスは、AIと専門家の知見を活用し、従業員のメンタル状態を定期的に測定・可視化します。
- 週1回のパルスサーベイ:従業員の状態を定期的に測定
- スコア化・可視化:メンタル状態をデータで把握
- フィードバック支援:管理職への具体的な対応方法提案
- リアルタイム把握:現場の状況を即座に確認
また、店長や管理職への具体的なフィードバックの方法まで提案されるため、属人的な対応に頼らない安定したマネジメントが実現可能です。
法定義務に加えて、実際の組織運営をスムーズに進めたい企業にとって、強力なサポートツールといえるでしょう。
まとめ
従業員が50人を超えると、企業は労働安全衛生法に基づき、ストレスチェックの実施や産業医の選任など、複数の義務に対応する必要があります。
これらの義務は、従業員の健康や安心できる職場環境を守るためのものであり、正しく対応することが企業の成長と信頼獲得につながります。
また、単なる法令対応にとどまらず、組織全体のエンゲージメント向上にも目を向けることが重要です。その点で「みんなのマネージャ」のような支援ツールを活用すれば、現場の課題を早期に把握し、的確な対策が可能となります。
今後の人材定着・育成戦略を見直すうえで、この機会を有効に活用してみてはいかがでしょうか。
法的義務はやらなければいけないだけでなく、従業員との信頼関係構築にもつながりますよ