企業が目指すゴールを実現するためには、従業員一人ひとりが同じ方向を向いて行動する必要があります。理念やビジョンは北極星のような役割を果たしますが、日々の業務で具体的に「どう動くべきか」を示すのが「行動方針」です。
しかし、いざ「行動方針を作りたい」と思っても、「理念やビジョンと何が違うの?」「どうやって策定すればいいの?」「作っただけで終わっていないか?」などの疑問や課題を抱える企業も少なくありません。
本記事では、「行動方針とは何か」の基本的な理解から、企業における重要性、策定・浸透のコツなどを丁寧に解説していきます。
- 行動方針とは何か?
- 行動方針を決める目的
- 行動方針を決める際のポイント
行動方針とは

まずは「行動方針」とは何か、その定義と意味をしっかりと押さえておきましょう。
行動方針の定義
行動方針とは、企業や組織が掲げる目標や理念を達成するために、従業員一人ひとりが取るべき具体的な行動指針のことを指します。英語では「Behavioral Guidelines」や「Code of Conduct」と表現されることもあります。
抽象的な理念やビジョンだけでは、実際の業務でどう振る舞えばいいのかが分かりにくいため、それを日常的な行動レベルに落とし込むために行動方針が必要とされるのです。
行動指針との違いは?
似た言葉に「行動指針」がありますが、厳密な定義は企業によってまちまちです。一般的には、以下のように理解しておくと良いです。
行動方針 | 行動指針 |
---|---|
企業全体の方向性に基づいた従業員の取るべき行動の考え方 | より具体的な業務や役割に応じた行動ルール |
行動方針は「全社共通のコンパス」、行動指針は「職種や部門に合わせた地図」と言えるかもしれません。
なぜ行動方針が必要なのか?企業活動での役割

なぜ行動方針は必要なのでしょうか?

行動方針は、単なるスローガンではありません。企業が持続的に成長していくためには、明確な行動方針が欠かせません。
ここからはその理由を3つの観点から解説します。
1. 組織の一体感を生む
行動方針があることで、従業員全員が共通の価値観をもとに行動できます。これは、組織としての「意思決定の基準」が統一されることでもあります。
例えば、「お客様第一を徹底する」という行動方針がある場合、店舗スタッフ、営業、カスタマーサポート、すべての部署がお客様にとってベストな選択を意識して動けるようになります。
2. 判断や行動の迷いを減らす
日々の業務では、マニュアルに載っていない判断を迫られる場面も多々あります。そのとき、行動方針があることで「どう振る舞うべきか」が明確になり、迷わず動けるようになります。
特にリーダーや店長など、現場で即断即決が求められる立場にはとても有効です。
3. 採用・育成・評価の基準になる
行動方針は、単に現場での行動を統一するだけでなく、人材マネジメントの基盤にもなります。例えば以下が挙げられます。
採用 | 育成 | 評価 |
---|---|---|
この価値観に共感できるか | どれだけ体現できているか | どの行動が貢献につながっているか |
上記を理解することで、組織の価値観に沿った人材を育てていくことが可能になります。
行動方針の具体例
では、実際の企業ではどのような行動方針が策定されているのでしょうか。ここでは、業種や目的別にいくつかの例を紹介します。
【例1】接客業・小売業の場合
- 常にお客様の立場で考える
- 笑顔での挨拶を徹底する
- 清潔な売場づくりを維持する
- クレームは真摯に受け止め、改善に活かす
このように、現場での振る舞いが明確に記載されており、誰でもすぐに理解できる内容が特徴です。
【例2】IT企業・スタートアップの場合
- 挑戦を恐れず、まず行動する
- オープンなコミュニケーションを大切にする
- チームで成果を出すことを優先する
- 失敗から学び、次に活かす
ベンチャー企業では、「スピード」や「柔軟性」を重視する傾向があり、文化としての行動方針が強調されるケースも多いです。
行動方針を決める際のポイント

行動方針の決め方がわかりません…

行動方針は「作ればいい」というものではありません。内容、策定プロセス、そしてその伝え方によって、実際に社員の行動が変わるかどうかが決まります。
以下は、行動方針を効果的に策定するためのポイントです。
1. 経営理念・ビジョンと連動させる
まず大前提として、行動方針は経営理念や企業ビジョンと整合性が取れていなければなりません。どんなに素晴らしい文言でも、理念とズレていれば現場での説得力を持ちません。
「なぜこの行動が必要なのか?」の根拠を、ビジョンや目指す姿から逆算して導くことが大切です。
2. 現場の意見を取り入れる
経営陣だけでトップダウン的に決めた方針は、現場で形骸化しやすくなります。実際に働く社員の声や、現場の実情をヒアリングすることで、机上の空論ではなく現実に沿った行動方針を作れます。
例えば、店舗スタッフへのアンケートや、優秀な店長へのインタビューなどを通して、「現場で大切にしていること」を言語化するのも一つの手法です。
3. 短く・わかりやすくまとめる
行動方針は、誰もが記憶しやすく、日常的に思い出せるような形にすることが重要です。できる限りシンプルな言葉で、行動をイメージできる文にするのがポイント。
例えば、「誠実な対応を心がける」「スピードよりも丁寧さを大切に」などの具合に、業務の中でそのまま適用できる表現を意識しましょう。
行動方針を浸透させるために大切なこと
行動方針は「策定したら終わり」ではありません。むしろ、そこからが本当のスタートです。せっかく現場の声を反映して作ったとしても、従業員がそれを知らず、日々の業務で活用されていなければ意味がありません。
では、どうすれば行動方針を組織全体に浸透させることができるのでしょうか。ここでは具体的な方法をいくつか紹介します。
1. 社内コミュニケーションに組み込む
行動方針は掲げて終わりではなく、日々のコミュニケーションの中で繰り返し共有されることが大切です。例えば以下のような施策が有効です。
- 毎朝の朝礼で1つずつ紹介する
- 社内報やメルマガに掲載する
- 社員インタビューの中で行動方針に沿った取り組みを紹介する
特に、管理職やリーダー層が率先して言及することで、組織全体への伝播力が高まります。
2. 表彰制度やフィードバックと連動させる
行動方針は、単なるスローガンではなく行動と成果につながっているという実感が持てるようにする必要があります。そのために効果的なのが、「評価制度」や「表彰」との連携です。
- 行動方針に沿ったエピソードを社内で募集・表彰する
- 上司から部下への評価・フィードバックの際に行動方針を引用する
- 行動方針を意識した1on1の質問項目を設ける など
従業員が「この行動方針は、自分の成長にも関わっている」と感じられれば、主体的な行動変容につながります。
3. 「見える化」していつでも確認できるように
行動方針を社内ポータルやツールでいつでも・誰でも・簡単に確認できる状態にすることも重要です。紙で配ったまま放置していたり、会議で1度話して終わり……という状態では、いずれ忘れられてしまいます。
そこで、クラウド型の情報共有ツールや人材マネジメントシステムの活用がおすすめです。次の章では、実際にそうしたツールを活用して行動方針の運用を支援できるサービスを紹介します。
「みんなのマネージャ」で行動方針を生きたものに
ここでご紹介したいのが、スカイストーン株式会社が提供する現場支援ツール「みんなのマネージャ」です。
このツールは、現場のマネージャーや店長がチームメンバーを日々の行動・状態で適切に把握・評価できるように設計されたマネジメント支援ツールで、行動方針の浸透や運用にも活用できる優れた仕組みが整っています。
現場の行動を可視化してマネジメント
「みんなのマネージャ」では、従業員一人ひとりの行動・発言・変化を日報やコメント機能などで記録・共有できます。こうした仕組みを活用することで、以下の行動の質に注目した運営が可能になります。
- 行動方針に沿った行動を上司が見逃さずにキャッチ
- メンバー同士で称賛し合う文化が醸成される
- 良い事例が蓄積され、共有ナレッジになる
行動と評価をつなぐ設計
多くの現場では、「数字だけで評価されてしまう」「努力が見えにくい」などの不満が生まれやすいものです。
しかし「みんなのマネージャ」では、行動方針をベースにしたフィードバックや定性評価が行えるため、「どういう行動が評価されるのか」「企業としてどんな価値観が大切なのか」が明確になり、納得感のある評価が可能となります。
これにより、行動方針が評価や育成に直結するものとして現場に根付くのです。
行動方針は企業文化の土台で継続が重要

行動方針とは「企業の目指す姿を、従業員の日々の行動に落とし込むための指針」です。理念やビジョンが抽象的であればあるほど、それを現場でどう実行すればいいのかを示す行動方針の存在が重要になります。
しかし、いくら良い行動方針を策定しても、それが現場で使われなければ意味がありません。浸透のためには、以下のような工夫が欠かせません。
- 経営層・現場リーダーの自分ごと化
- 日々の会話・フィードバックでの活用ツールを用いた「可視化」「習慣化」
特に、多拠点運営やリモートワークの広がる今の時代では、従来の紙文化や感覚的マネジメントには限界があります。
「みんなのマネージャ」のようなツールを活用し、行動の蓄積・共有・評価を一元化することで、行動方針を絵に描いた餅ではなく現場で動く力として根付かせることが可能になります。
行動方針を軸にした「動く組織」を作ろう
行動方針とは、単なるお題目ではありません。企業が一体となって目標に向かって進むために欠かせない「共通の行動ルール」であり、「企業文化そのもの」を形づくる土台です。
だからこそ、策定・浸透・運用のすべてを意識しながら、継続的に磨いていく必要があります。そして、現場のマネージャーやリーダーがその価値を実感できる仕組みがあってこそ、組織は本当に変わっていきます。
「行動方針をつくったものの、うまく現場に伝わらない」
「理念を形にするには、何から始めればいいかわからない」
そのような悩みを感じている方は、まずは行動と現場のマネジメントを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

「みんなのマネージャ」は、現場の声を聞き、行動を見える化し、組織を育てるための最適なパートナーです。行動方針の実践と定着に向けて、まずは無料デモなどから体験してみるのもおすすめです。
行動方針とは具体的にどのようなものなのですか?